【─階段の裏側は、いもむしの腹に似ている。 夢のない少女、さわ子は白紙の進路希望を握りしめて独りごちる。夏の日差しのなかで、さわ子はチラチラとした鉄階段の翅を持つ蝶の白昼夢にとらわれていた。】 20……